馬尾症候群〜NAOさん(2003・5・30)

<どんな病気?>

 脊椎は、頚椎・胸椎・腰椎・仙椎に分類され、各椎体は椎間板によって結合されています。椎体の中には脊柱管があり、この中を脊髄神経が通っています。脊髄神経の末端は、ちょうど馬のしっぽのように神経が細かく分かれておりこの部位を「馬尾神経」と呼びます。
 馬尾神経は、運動による負荷や不安定を受けやすい腰椎と仙椎の連結部付近にあります。また、神経が通る管が他より狭くなっている為、椎間板の突出などにより、馬尾神経が圧迫され、さまざまな神経障害を引き起こしやすいのです。たくさんの神経が集中している場所なので、細かく分類すれば障害を受けた神経により別の病名が付くこともありますが、これらの病気を総称して「馬尾症候群」と呼んでいます。
 一般的に、大型犬の雄によく見られ、中でもジャーマン・シェパードは好発犬種とされています。

<症状>

 後肢痛(運動後に悪化する傾向が強い)・後腰部の疼痛・後肢ハ行・筋萎縮・起立困難または不能・尿失禁・排便失調・後躯麻痺・尾麻痺・会陰部皮膚炎など軽度のものから重度のものまで様々です。臨床症状からは、関節疾患とくに股関節形成不全との区別が難しい場合があります。

<診断>

 レントゲン撮影、脊髄造影における腰仙椎関節牽引時と背側屈曲時の写真、腰仙椎椎間板造影、硬膜外造影、CTスキャン、MRIなどにより確定診断します。

<治療>

 疼痛や軽度のハ行など症状が比較的軽い場合は、運動制限や抗炎症剤の投与など、内科的療法により一時的に症状の緩和が見られます。

 内科的療法で改善が見られない場合、また疼痛が激しく神経障害が見られるような重度の場合は、外科的療法が適応されます。
★神経を圧迫している組織の切除(減圧療法)。
★神経孔狭窄により神経根に圧迫がある場合は、神経孔拡大術や部分的関節突起切除術。
 
 腰仙椎関節不安定が重度の場合は、椎体を癒合し安定させますが、この場合は、インプラントの破損・感染・関節突起骨折などのリスクが伴います。

<予後>

 馬尾症候群の予後は、原因・重傷度・神経が障害を受けている期間によって決まります。ごく軽度の症状で発症からの期間が短ければ、外科的療法により改善の余地がかなりあります。
 しかし、慢性的な疼痛や神経障害を長期間持っている場合は、術後の神経障害の改善に多大な時間を要し、完全に改善しないことも多々あります。尿失禁などの症状がある場合には、一般的に予後はよくありません。馬尾症候群は、進行性の病気なので、早期の診断と治療が重要となります。

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