ファングのスロープ ---NAO(2002/08/22 )


  私は12歳のGシェパ「ファング」と、川に捨てられ消防車2台レスキュー隊員8名出動という大救出劇の末、家族となったMIX猫の純一郎(愛称:ジュンジュン)と真紀子(愛称:マッコ)と暮らしています。 これはあくまで、ファングの事例ですが、高齢の犬と暮らす飼い主さんの参考になればと思い、ファングのスロープのお話を紹介したいと思います。
 ファングは、一昨年に、里親ボランティアの方より、縁あって家族に迎えたジャーマンシェパードです。

 迎えた当時、私はフルタイムでバイトをしていた為、仕事の時は近くの叔母にファングを預けていました。
 室内飼いのためトイレの心配もあり、ファングも誰もいない家で留守番をするより、その方がいいだろうと考えたんです。
 でも、叔母の家での留守番と私の家での生活を2ケ月程続けた頃、ファングの体に異変がおきました。
 時々、足を引きづり、ひどい時は,足を上げてヒィーヒィーと悲鳴を上げて痛がり倒れてしまうのです。
 痛がる足は、その度に違う足で、痛がって倒れても、1分もするとしっかり足に体重をのせて歩きます。
 原因もわからず、病院に連れていきました。 触診異常なし。血液検査異常なし。ようやく全身麻酔をかけてのレントゲン検査で、軽い股関節形成不全と背骨が少し曲がっている為に神経が圧迫されていることがわかりました。
 でも、このぐらいなら、あんなに痛がるはずはないし、圧迫している場所からも、後ろ足に症状が出るのはわかるけど、前足を痛がるはずはないと先生は言います。
 結局、原因が骨にあるとは考えにくく神経かもしれないとの診断でした。

 その1週間後、東京から神経学の権威の先生が講義のためにやって来るので、特別に診てもらえることになり診察してもらったものの、特に異常は見られず、原因を特定できぬまま、時間だけが過ぎていきました。
 私は、ファングの事が心配で、仕事を半分に減らし、できるだけファングと一緒にいられるようにしました。
 不思議なことに、その頃から足を痛がる回数がどんどん減っていったのです。
 当時はわからなかったけれど、ボランティアさんの所から知らない家にやってきて、新しい生活に慣れる間もなく、叔母の家と私の家との2重生活。これがファングにとっては、かなりストレスになっていたんじゃないかと今は思います。
 ファングの為に良かれと思ってしたことが、ファングを苦しめていたのです。 ゴメンね。ファング!!

 でも、この時の病院での検査は、無駄にはなりませんでした。 ファングは室内飼いです。
 お散歩で外に出るとき、室内と屋外の段差は、股関節と背骨に爆弾を抱えているファングにとって、下半身麻痺になってしまう原因に成りかねません。
 ファングの場合、背骨の神経の圧迫がひどくなれば、歩く事はおろか自力での排泄すらできなくなります。
 ただ、お散歩に行くだけのことが、ファングにとっては、致命傷になってしまうかもしれないのです。

「どうにかしなければ・・・!」

「そうだ!段差のゆるやかな階段を作ってあげよう!」

 でも、階段の奥行きは何cm??段差は何cmぐらいがいいんだろう??
 一生懸命考えても、2足歩行の私には、ファングのBESTなcmはわからないんです。

 次の日、ファングを連れて歩道橋に行きました。通行人の冷たい視線を感じつつ、階段の長さを測ってみると、奥行き51cm、段差8cm。
 昇るのは平気だけれど、 降りるのが少しぎこちない。 ファングの前足から後ろ足までは約1m。 降りる様子を見ると、奥行きが足りない感じ。
 奥行き1mで段差を8cmで階段を作ったら・・・・・・・・・計算してみる。
 ーーー無理だ。家の敷地を突き抜けてしまうーーーどうしたらいいんだろうー?
 ふと、視線を向けると地下道があり、自転車用のスロープもある。
 早速、ファングを歩かせてみると、なんだかいい感じ!(^^)
 階段よりも勾配は急なのに、足の動きは滑らかで、階段よりもスロープの方が、 腰にはやさしいそう!

「これに決めた!」 家に帰り、頭のなかで、スロープを歩くファングの姿をイメージしてみる。

「ドアを出て、いきなり勾配があるよりも平らな方がいいだろう」

「素材は木にすれば、長さの調節もどうにでもなるだろう」

「ファングが歩くとき、滑ったり、トゲが刺さらないようゴムのマットを敷こう」

 日曜大工などやったことのない私は、設計図など考えずに、頭の中のイメージだけ ホームセンターに材料を調達に行ってしまった。
 −−−−後悔ーーーー この安易な行動が災いし、材料を買ったこの日からスロープ完成までは、 なんと、2週間を要してしまった。

「天板に脚を斜めにくっつければできるだろうと簡単に考えていたのに、人が乗ると水平の力が働いて、どうにも安定しない」

「クギを打っていると、どういうわけか打ちつけたはずの別の脚がとれている」

[スロープ作りを手伝ってくれている家族と、あーすればいい。こーすればいい。 といっているうちに、みんなイライラしてきて喧嘩が勃発」

「買い足し、買い足しで作ったので、材料費も予算の倍以上かかるしまつ」

 そんな、こんなでやっと完成したスロープ。

 もっと考えて作れば良かった!と思うところが一杯です。

「外から室内にファングが入る時,ドアの正面にスロープを設置してしまった為  ドアを開けると、スロープを昇ってきたファングに当たってしまう」

「ファングが滑らないように敷いたゴムマット(ずり落ちないようトタン用のクギで固定)  基本的には正解だったが、色を黒にしちゃったものだから、夏は超高温」

「天板の補強に入れた角材は、もっと間隔を狭くするべきだった。  体重80kgの主人と35kgのファングが乗ったら、天板ごと落ちた」  などなど・・・。

 初めて、レントゲンを撮った日から一年後。背骨と股関節の症状が進行しているか 確認する為、再度、レントゲン検査をしました。
 幸い、思っていた程、進行しておらず、今の進行スピードなら、たぶん死ぬまで 自分の足で歩けるだろう・・・とのこと。
 とても満足のいく出来ではなかったけれど、ファングの為にスロープを作ってあげてよかった。
 背骨と股関節の進行が遅くなっているのが、スロープのおかげかどうかは、わからないけど、私は,病院の先生はあくまでも専門的な知識を持つアドバイザーで、 飼い主の私自身がファングの主治医だと思っています。
 段差が良くないと言っても,病院では、スロープまで処方してくれませんからね。






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