しっぽーずの家に帰る為に高速バスに乗った。今回はカメズも一緒に帰省である。クッション代わりに水で湿らせたスポンジを敷いた上にそれぞれ1匹ずつプラケースに入れ、上から目隠しのタオルをかけたトートバック。 以前、高速バスセンターに電話で問い合わせて、「プラケースに入ってて水がこぼれたり逃げたりする心配がなければいいですよ。」とお墨付きをいただいたのだ。けれど、他の乗客に知られないほうがいいので努めてすまし顔で乗車・・ 私の左隣には外国人の旅行中らしい50歳くらいの男性、右隣には日本人の若い女性が座った。 カメズのごそごそがばれないように、ちょっとどきどきものである・・ 1時間ほど順調に行程が進み、ほっと一安心したら・・「ごと・・」と鈍い音がして床に何か落ちた様子が・・ゆっくり自分の右下を見るとゲンさん(カメ)が脱走して床に下りているではないか!?私は心の中で「げ〜!」と叫び、目を飛びだたせ、それでも沈黙を守りつつそっとゲンさんをわしずかみしした。もはや、甲長15CMはあるゲンさんを片手でつかんでも隠すことはできない。なるたけスムーズにそっとケースに戻し、もうひとつのカバンで重石をした・・気づかれただろうか・・何も言われなかったが冷や汗ものであった・・(^^;)
バスはインターで20分の途中休憩に入った。私はさっきの出来事に興奮してしまい、慌ててトイレに駆け込んだ。戻ってくると隣の外国人男性が乗客に英語で休憩時間を確認して再びインターの方へ歩いて行った。ところが、出発時間になっても戻ってこない。運転手さんに事情を話して、男性を探しに行ってもらった。 「困った困った・・」と男性と運転手さんが戻ってきた。「大変だったですなあ・・」と言うと、ニュアンスは通じたようですまぬ・・と苦笑いなさっていた。
その後、次の休憩時間をどうやってうまく伝えようかと考えた。どうやらガイドブックの文字からして彼はフランス人らしい。英語でいいようだが、私はからきしダメである。考えた末、メモに「この休憩時間00:00〜00:00 45分間」というらしき英語を書いて、身振り手振りで伝えた。どうやら分かっていただけたようで、彼はにっこりして「サンキュー」と言った。 運転手さんに先ほどのことを伝えて気をつけてあげたくださいと言うと、なんと英語が出きる方で、ちゃんと伝えてくださって助かった。 男性は無事ににこにこして時間通りに戻ってきた。
その後、日常会話はさっぱりできないので終始寡黙ではあったが、きれいに刈り込まれたお茶畑に感動している彼に「じゃぱにーず ぐり〜んてぃ〜」とか「まうんとふじ〜」とか伝えた。というかそれしか言えないのだが。その度に「OH,YES,YES!」という簡単な英語のみで盛り上がり、お互いににこにこしていた。私の降りる停留所が近づき、降車ボタンを押すと「???」と聞かれたので、ゼスチャーと日本語で説明。「OH,YES,YES!」とまた分かってくれた。私は彼の読解力のほうがすごいな〜と感心しながら、笑顔で別れた。心温まるひとときだった。降車すると、運転手さんがモニターでその様子を見ていましたよ〜とにこにこ言われてはずかしかった・・お粗末カタコトるんばであった・・やっぱり英語力は大事だ・・共通語だからな・・と冷や汗。 それにしても、旅は道連れ、一期一会であるなあと感心した一日だった。
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No.639 |
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