「小さな親切大きなお世話」というが、今日は小さな親切が嬉しかった話。 赴任先に向かうために高速バスを待っていた。事故があったしく、停留所で待つ人々はかなり待たされた。けれど、目的のバスが来て段々と人が乗り込んでいき、とうとう私一人になってしまった。40分以上待っている・・ そこへ盲導犬を連れた使用者の女性がバスの運転手さんに案内されてやってきた。停留所のベンチの位置を教えてもらって腰掛けた。運転手さんは、「では、運転手に聞いてください。」と言ってバスに戻った。 ちゃんと脇におとなしく伏せしている盲導犬を少し離れた位置から偉いな〜と見守っていた。(あまり見つめるのはよくない。お仕事中はそっとしておいてあげようね。) そのうち、やっと私の目的のバスがやってきた。バスの来た気配に女性が盲導犬とともに立ち上がった。なんだか不安そう。そうだ、行き先だ。 とっさに「これは大阪行きですよ!」と大声で叫んだ。「それでは違うわ・・どうもありがとうございます。」と女性は笑顔で言って、ベンチに戻った。ちょっとしたことだったけど、役に立てて嬉しかった。私たち健常者は、役に立ちたくてもどんな風にしてさしあげていいのかわからないことが沢山ある。私もだいたい見守っているだけだけど、とっさの時には役にたてたらいいなあ・・と常々思っていた。「気をつけて」と心の中で思ってバスに乗り込んだ。
バスの運転手さんは、遅れた状況をとても丁寧に話してくれた。私は気の毒になってかえって大変でしたね・・と言っていた。 バスに乗ると通路にハンドタオルが落ちていたので女性に聞くと「私のです。ありがとう。」と笑顔で言った。 私の座席に行くと、前の方のリクライニングが深く倒れていて座りにくかったので、事情を話すと若い女の子が「すみません。」と快く笑顔で元に戻してくれた。その後にリクライニングを倒すときにいつも聞いてくれた。 隣の女の子は「後ろの方に荷物を沢山置けますよ。」とにこにこ声をかけてくれた。そのおかげで足元すっきりで座ることができた。その子も休憩で通るたびに会釈して気持ちよく隣に座ってくれた。 盲導犬の使用者の方に始まって、今日は見知らぬ人たちのあったかい気持ちに触れて、ほのぼのとした気持ちで赴任先に向かった。
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No.614 |
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