きんいろの輪ひまわりのしっぽ3





これはあるセキセイインコの姉妹のおはなしです。
モモとミントは大のなかよし。
モモがお姉さん。ミントは妹。
2羽はたくさんのインコの家族たち、
そして人間のお母さんである優しい「ことねちゃん」
みんなと一緒に 楽しく暮らしていました。

2羽はとってもなかよしで、ことねちゃんと遊ぶより
2羽で一緒にいるほうが多いくらいでした。
他のみんながちょっとやきもちを焼いてしまうくらいにね。



おとなになったミントはある時から病気がちになってしまいました。
モモはとっても心配して、ミントの具合が悪そうなときは
いつもじっとそばについていてあげました。

ことねちゃんは小鳥の先生のお話をよく聞いて、
ミントが少しでも元気でいられるようにがんばりました。

家族はみんな、ミントを支えてがんばりました。
そばであたためてあげたり、たのしい歌を聞かせてあげたり。
くちぶえの上手な子もいました。
おしゃべりの上手な子もいました。
かくれんぼや飛ぶのがとても上手な子もいました。
みんなみんな、ちょっとでも
ミントに元気になってもらいたかったんです。

いちばん頑張ったのはもちろんミントでした。



けれども、だんだん病気が重くなり、
とうとうミントが天国へ旅立つ日がやってきました・・

ミントは体がだんだんと深く沈むように感じました。
心配してそばにいた ことねちゃん、モモの声・・
意識がだんだんとうすれていく中・・
耳元でふしぎな声が聞こえたのです。

「だいじょうぶ。目をあけてごらんなさい。」

小さなすずが鳴るようなきれいな声でした。





ミントはそうっと目をあけてみました。
そこにはきんいろの光の輪につつまれた
透明な小鳥の姿があったのです。
小鳥はぼうっと光をはなって輝いて見えました。

「あなたは誰?」
ミントは聞きました。

「わたしは小次郎。桜文鳥っていう鳥です。」
透明の小鳥が答えました。

「文鳥?文鳥がどうしてここに?」

「ミントさん、あなたをお迎えに来たんです。
あなたが天国へ行く道を迷わないように。」

そうか・・わたしは天国へ行くんだ・・
けれどもミントはあんまり怖くはありませんでした。
それは、目の前の小次郎という小鳥がまるで
妖精のようにきれいだったからでしょうか。

「さあ、わたしのつばさにつかまって。」

そう言うと、小次郎はミントの体をすうっとひっぱりあげました。
すると、どうしたことでしょう。
ひっぱりあげられたミントの体も透明になってしまいました。

「わわわ!わたし、どうしたんだろう!?」

「大丈夫、何にも心配することはありませんよ。」
小次郎はそう言ってにっこり笑いました。

「ちょっと飛んでみてごらんなさい。」

ミントはそっと羽ばたいてみました。
体がたった一枚の羽根みたいに軽いのです。
ミントは風になったような気持ちになりました。
なんて気持ちがいいのでしょう。
今までは病気だったのでほんの少しですが、
飛ぶのがつらかったのです。

「さあ、これから天使の輪をもらいに行きましょう。
わたしの後についてきてください。」

小次郎はそう言うなり、上に向かって飛び立ちました。



「ままま、まって〜!」

ミントはあわてて後を追いかけます。

2羽はミントのいたケージをすり抜け、
ことねちゃんの家の天井をすり抜け、
夜空に向かってどんどん上へ上へと進んでいきました。
雲をすり抜け、月やほしに届きそうなくらい高く、高く・・

小次郎はやっと飛ぶのをやめました。
夢中で飛んでいたミントはほっと息をつきました。
そして辺りを見渡すと・・
辺りは銀色に輝く雲に覆われた世界でした。
そこには天使達がにこにこ笑いながら飛び回っているのです。
小次郎のように透明できんいろに光る小鳥たちもいます。

びっくりしているミントを伴って、
小次郎と天使達はゆっくりと銀色の雲の上を進みました。

しばらく進むと、頭の上の雲の間から
いくすじもの光がふりそそいています。

「あれは、天使のはしごと言うんだよ。」
小次郎が言いました。

あまりの美しさにミントは動けません。

「さあ、天使のはしごの真下まで進んで・・」

小次郎にうながされ、ミントはひとりの天使に
導かれて光のすじの真下まで進みました・・





いくすじものやわらかく、
あたたかい光がミントの体を包みました。
すると・・
透明だったミントの体がきんいろに輝き、
そのまわりにきんいろの光の輪ができたのです。

「これが天使の輪です。」
横にいた天使がいいました。
「あなたがた小鳥はすでにつばさを持っているでしょう。
だから、天国にきたらこの「きんいろの輪」をさずかるんですよ。」





「小鳥以外の動物たちはつばさときんいろの輪の
両方をもらえるんだよ。」
小次郎が言いました。

「そっちのほうがなんだかお得なような・・」
ミントは思いました。

ミントの思いが伝わったのか、
天使はくすっと笑いました。
「あなたたち小鳥は地上にいるときから
いちばん空に近い所にいられる種族なのだから。」
そして
これからは、このきんいろの輪のおかげで
もっと自由にどこにでも飛んでいけますよ。」

天使のことばどおり、透明になったときよりも
ずっとずっと体は軽くなりました。

「どうもありがとうございます!」
ミントはとても嬉しくなりました。

けれども、残してきたモモのこと、
いつもかわいがってくれたことねちゃん、
インコの家族達。
みんなのことがとても心配になりました。

「わたしはまたモモやことねちゃんに会えるんですか?」

「もちろん、いつでも会えますよ。」
天使はにっこりしました。
「あなたの姿はすべての人には見えないけれど、
モモちゃんにはきっと見えるはず。
会いにいってごらんなさい。」

「わたしが案内します。」
小次郎がそう言ってくれました。



こうして、小次郎とミントは今度はどんどん
下へ下へと向かいました。
きんいろの輪のおかげで、あっという間につきました。

家では、ことねちゃんが泣いていました。
モモも泣いていました。
他のみんなも泣いていました。
ミントはとっても悲しくなりました。





「そうっと近づいてみて・・。」
小次郎がいいました。

ミントは泣いているモモのそばに近づいてみました。
「モモちゃん、モモちゃん・・」
ミントはよびかけてみました。
「ミントちゃん!?」
泣いていたモモは顔をあげ、驚きとよろこびの
声をあげてミントに抱きつきました。
けれども、モモはミントの体をすりぬけてしまいます。

「ミントちゃんはきんいろでとってもきれい。
また一緒に羽つくろいができなくてもかまわないよ。」
モモはとっても嬉しそうでした。

ミントは泣いていることねちゃんの肩にそうっととまってみました。
モモも一緒にことねちゃんの肩に並んでとまりました。
ことねちゃんは泣きやんでびっくりしました。
「モモ、慰めてくれてるの?」
普段、2羽で遊んでばかりいたミントとモモは
なかなか肩にとまってくれませんでした。
だから、ことねちゃんはびっくりしたのです。
「ありがとう、モモ。」
ことねちゃんはにっこりしました。



それから、モモはことねちゃんの肩によくとまって
遊ぶようになりました。
もちろん、ミントも一緒です。

「ふしぎなんだけど、モモの近くにきんいろの輪が見えるんだよね。
とってもきれいでふわふわしているの。」
ことねちゃんはモモに話しかけます。
ちゃんと見えているんですね。
ミントはとってもうれしくなりました。





それから少しして、ミントのために
ことねちゃんのお友達からきれいなお花が届きました。
お花の香りが部屋中にあふれて、
ミントとモモは嬉しくてそのまわりを飛び回りました。
お花の妖精の優しさにふれて、
ことねちゃんはこころがふんわりとなりました。
お花には、悲しむ人の心をあたたかく
包む力があるのだそうです。

きんいろの輪をもらってからのミントは、
天使の所や小次郎のもとのお家、
月や夜空、いろんな所にでかけられます。
そう、小鳥は空に、天国に一番近い種族なんです。

これからも、いつもいっしょ。
さみしくないよね。
だいじょうぶ。

<おしまい>

るんば・文

ことねさん・絵

ことねさん、ステキなイラストをどうもありがとうございました。




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