天国のハルちゃんへ〜るんば(2002.9.23)
今日はお彼岸。
お彼岸の意味は、 サンスクリット語で波羅蜜多(はらみた)…
わかりやすく言うと「あの世」…のことだそうです。
煩悩に満ちたこの世界(此の世)、つまり「此岸」と、あの世つまり、「彼岸」からの霊を参ることがお彼岸の大きな意味になっているそうです。
今年の春のお彼岸に私の会いにきてくれた友達のハルちゃんのお話をしたいと思います。
ハルちゃんは、私が今住んでいるこの地に引っ越してきて、初めて友達になった人です。たまたま近所に住んでいて、年も私の一つ上。お互い子供いない主婦同士。
ハルちゃんはとてもおしゃれな人で、お化粧もきちんとしていて、バイオリンを弾くという趣味を持っています。楽団にも入っていて、私は何度かハルちゃんの楽団の演奏会を聞きに行きました。
みんなはお花なのに、私だけはお菓子を差し入れ。
実は、ハルちゃんが、スリムでおしゃれな見かけによらず、甘いものがとても好きだったからです。(^^)
ハルちゃん自身をだけを見ると、おしゃれが得意とも言えず、いっつもGパンで化粧っ気のない私とは、趣味もあんまり合わないようにも思えます。
ですが、ハルちゃんは何かにつけていつも声をかけて会いに来てくれました。(^^)
一緒に新作のお菓子づくりに二人で挑戦したり、うちの猫に会いにきて、猫バカぶりを発揮したり、大きな犬が怖いくせに、ノエルと散歩しようと誘ってくれて、よく公園でノエルを囲んでおしゃべりもしました。
近所の美味しい所めぐりをしよう!とあちこちでかけたり、北風の吹く寒い日に二人で自転車で遠出して風邪をひいたり・・・
けっこうのんきでドジなハルちゃんといて、いつも笑っていた気がします。
おうちに会いにいくと、まだお化粧前でまゆげがない!と大慌てで私を迎えてくれたものでした。(^^)
そんなハルちゃんが病気で入院する事となり、その病名が「がん」だったと聞かされたのは、ハルちゃんが退院して久しぶりに私に会いに来てくれた日のことでした。ハルちゃんは、毅然としていて明るかった。
とても前向きできれいでした。
とても大切なことを転勤の前に私に話してくれました。
その後まもなく県外に引っ越たハルちゃん。
治療はなれしたしんだ病院がいいと、入院のために帰ってきました。
それは、ハルちゃんのがんが肺に転移していると手紙で聞いてからのことでした。
私は、ハルちゃんとメールでやりとりをして、抗がん剤の治療の予定を見計らい、ハルちゃん自身が一番体調の良いときにお見舞いに行く日々が続きました。
ハルちゃんのほうから病状のことを話してくれるまでは、私からは決して聞かない。ハルちゃんが話してくれるなら、いくらでも聞こう。
普段通りの友達として、病室ではいつも笑顔の二人だったと思います。
お見舞いにはお菓子を買っていき、いつも一緒に食べました。
ハルちゃんの体調の良い日は、病院の外で一緒に食事もしました。
でも、抗がん剤治療をして白血球値が下がっているハルちゃん。
よく私に会いにきてくれた・・と今では思います。
ハルちゃんが退院して県外に戻る日、ハルちゃんは病院内でずっとコンピューターの資格試験をしてその合格を受けた日でもありました。
私はお祝いの品を持って行き、その中にハルちゃんがずっと行きたいと言っていたイタリアの絵本を入れていました。
本を見て喜ぶハルちゃん。
でも、ふと顔がさみしそうになり、「イタリア、行けるかな・・」とつぶやきました。私は「きっと行けるよ!」と言いました。
「そうだよね。」ハルちゃんは笑顔で答えました。
その笑顔が今でも忘れられません。
その後、こちらに来たら連絡をする・・・ということでしたが、ハルちゃんからは連絡がなく、時々近況のメールをやりとりしていました。
それも途絶えがちになり・・・
年賀状で元気そうなハルちゃんの写真をもらって安心していたのですが・・・
その年の年末にご主人からハルちゃんの訃報をいただきました。
亡くなったのは昨年の8月。
私は、ずっと連絡をしていなかったことをすごく悔やみました。
心のどこかで、ハルちゃんには他に力になってくれるだろうお友達がたくさんいるから・・という気持ちもあったかもしれません。
でも、病気のことをまっすぐに私に知らせてくれたり、連絡がとだえがちになっても、いつもハルちゃんの方から声をかけて会ってくれた。
その事を思い出すと、私が思っている以上にハルちゃんは友達としての私を大切にしていてくれたのだと思いました。
きっとその後連絡が途絶えがちになったのは、
遠方にいる私に心配をかけまいとしてだったと思います。
今年の3月のお彼岸。
主人のおじいさんたちのお年忌があり、お寺に供養に行きました。
その晩、夢にハルちゃんが現れました。
私のうちの台所で得意の手料理を作ってくれて、にこにこしながら私が食べるのを見ています。
私が、「ハルちゃんが亡くなったのを知らなくて、それにずっと
連絡をしなくてごめんね。」と言うとハルちゃんは一瞬、寂しそうな顔をしました。
でもすぐに「ううん、そんなことない。」と笑顔で言ってくれました。
「ご主人は元気?」と聞くと、「元気みたい。」とハルちゃんは笑顔で言い、夜中に目が覚めました。
ハルちゃんが心配して会いにきてくれたのだと思いました。
タイミングも実に生前のハルちゃんらしい優しさで。(^^)
病院にいながらも、いつも私の体の心配や将来のことを案じてくれたハルちゃん。亡くなってもこうして会いに来てくれました。
私には、亡くなった曾祖母・祖父・そしてハルちゃんがいつもあたたかく見守っていてくれていると感じています。
ノエルの死などいろいろなことを乗り越えた今、私はハルちゃんの遺言を少しずつ守り始めています。
自分の体を大切にして、ハルちゃんの分まで幸せに生きる事。
見ててね、ハルちゃん。
ちゃんと幸せにやってるからね。
今日は、お彼岸。
あの世とこの世の魂が通う時。
そんな瞬間を感じることができるように、今日はハルちゃんと亡くなった曾祖母・祖父・そしてノエルとうめちゃんにおはぎをお供えしました。
おいしかったかな?
るんば
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