2003年9月の日記


9月10日(Wed)  1ケ月が過ぎて・・・
ファングと別れて、1ケ月が過ぎた。
ようやく精神的にはファングのいない生活に慣れてきた。
しかし、肉体的にはまだまだ生活のリズムが取り戻せないでいる。
昼間、どんなに汗を流して動いても、夜、まったく眠くならない。
今更ながら、ファングの介護中の生活がいかにハードだったのかを
思い知らされる。
介護を始めた頃は、精神的に追い詰められるほど疲労困憊していたのが、
最後は、介護を楽しむ余裕すらあったのだから、「慣れ」というものスゴイ。
人間、心の中で覚悟さえ出来てしまえば、肉体的にはどんな環境にも慣れる物らしい。
今は、毎日、時間と体力をもてあましている。

昨日はファングが亡くなって、ちょうど1ケ月。
1ケ月の間、1度くらい夢にファングが出てきても良さそうなものだが、
1度もファングの夢を見ていない。
しかし、夜、ジュンジュンが生前ファングがいつもいた場所をまんまるの目で
見つめている。
しっぽを太く膨らませ緊張しながら見ているのだ。
虫でも飛んでいるのかと、一緒に目を凝らすが何もない。
ファングがいるんだなぁ。ここに・・・
「ファング」と声にだして名前を呼んでみる。
毎日数え切れないほど呼んでた名前。とても懐かしい響きだ。

ジュンジュンの目に映ったファングの魂は、一体どんなだったろう?
いつもそうだったように、あの瞳で私を見つめていてくれただろうか。
そんな事を考えていたら、なんとなく手の平に、ファングを撫でている感触が
蘇って来た。
もちろん、実際に手の平で感じたわけではなく、単なる頭の中のイメージ
なのだろうが、なんとも懐かしく幸せな気持ちになった。
No.151

狗呂  2003/09/11/11:32:26   No.152
お久しぶりです。
そう、彼らはなかなか夢に出てきてはくれないです。
こちらはこんなに待っているのにね・・。

9月16日(Tue)  まめちゃん告別式
まめちゃんを見送る為に、るんばさんと共に社へ行った。

まめちゃんは、ちっちゃなちっちゃなスナネズミ。
体中をガン細胞に蝕まれていたのに、最後までご飯を食べて、生きようと頑張った。
こんな小さな体のどこにそんな力があるのかと思わせるほど、頑張ったんだ。
そんなまめちゃんのご遺体はとても美しかった。お顔もとっても優しかった。
あんなに大きなガンの塊が体中にあったのに、毛づくろいを忘れなかったまめちゃん。
ダンディで男前のまめちゃんらしい。
まめちゃんとその奥さんのむぎちゃん、そして子供たちの写真を見せてもらった。
大好きな家族と過ごすまめちゃんの顔は本当に輝いていた。
そして、そんな表情豊かな写真を摂れるのは、溢れる愛情でカメラをのぞくしずみんさん、世界にただ一人だけ。
飼い主さんが、愛情いっぱいの瞳で見つめながら、シャッターを押した写真は、どうしてこんなに素晴らしいのだろう。
まめちゃんとのお別れはとても悲しいことだけど、愛情一杯のしずみんさんとその愛情に応えるために、最後まで頑張ったまめちゃんからは、とても優しいものをもらったような気がした。
ありがとう!まめちゃん!

No.153
9月19日(Fri)  ねりちゃん、安らかに・・・
今日、ねりちゃんの訃報が届いた。
ねりちゃんは、先日旅立ったまめちゃんの娘のスナネズミさん。
ねりちゃんも、お父さんのまめちゃんと同じように、最後まで生きる為に
病気と闘っていた。
ねりちゃんの訃報に、たくさんたくさん掛けたい言葉はあるはずなのに、
言葉が出てこない。
今年の夏は、ルイちゃん、ファング、まめちゃん、そしてねりちゃん。
たくさんの大切な存在を立て続けに失って、私の許容範囲を超えてしまった。
どこか具合が悪いわけではないのに、気持ちが悪い。吐きそうである。
乱暴な言い方だが、もう「死」はたくさんだ。
本当は、ねりちゃんの旅立ちに、温かい言葉を添えてやりたいのだが、
今の私には、それができそうもない。ごめんね、ねりちゃん。
どうして・・・どうして・・・みんな逝ってしまうの?
そんな、答えがでないはずの疑問ばかりが、頭の中をグルグルまわっている。
No.154

るんば  2003/09/19/21:23:23   No.155
NAOさんは自分をいたわろう。ファング君を亡くしたばっかりなんだから。無理する事ないよ。みんな、かなしい自分をちゃんといたわろうね。生きてるときみたいにふれあえない。もうその時間は二度と戻ってこない。でも、この手はちゃんとその感覚を覚えていませんか?きっとそばにいるんだよ。

9月29日(Mon)  犬を幸せにする人
お店でバイト中、お客さんから介護ハーネスのことを聞かれた。
私のいる店で扱っている商品は1種類だけ。
オムツカバーに吊り手用のバンドがついているもので、素材はポリエステル。
このお客さん、飼い犬が高齢になり足腰が弱ってきたので支えてあげれば楽に歩けると考えたらしい。高齢の犬と暮らす飼い主は、誰でも同じ事を考えるのだな〜と、つい私とファングのことと重ねてしまった。
商品を箱から出して、実際にお客さんに見てもらった。しかし、お客さん自身が、どういう商品が世の中にあるのか?どういう素材の物でどういう形が犬にとって一番いいのか?かなり悩んでいる様子だが、何をどう質問していいのかも、わからない様子。
なので、私はファングとの生活の中で得た事を、迷惑かな?と思いつつも話してみた。
オムツカバーとしての機能が必要ないのなら、本当に吊るだけの物も通販などで売っていること、素材はウェットスーツと同じもので出来たものが、
やわらかく伸縮性もあるので犬に優しいこと、足を通すタイプのものは
装着してしまえば確かに楽だが、装着までが案外大変な作業になること・・・
私の知識など全くたいしたことはなく、誰でも想像さえすればわかる程度のことばかりだが、こういうことはやったことのない人には、想像するのも困難なようだ。
小柄なゴールデンということだったので、サイズもかなり悩んだ。
犬も一緒に連れてきているというので実際に会わせてもらうと、顔は白髪で真っ白だったが、瞳は優しく毛並みも美しく、一目でどんなに可愛がられているのかがわかった。幸せな犬だ。
メジャーで胴回りを計る前に、私は犬に声をかけて頭を撫でる。
ファングが病院でそうされると、私が嬉しかったから、同じようにしてみた。
ゴールデンの飼い主さんも、そういう犬に対する些細な気遣いが嬉しかったようだ。私から何も言わなくても、「この子、12歳なんです」と飼い主さんから犬のことを話してくれた。ほんの少しの思いやりや気遣いを行動で表すと、自然とそこには笑顔のコミュニケーションが生まれる。素晴らしいことだ。
そして、私が感心したのは、おとなしく計らせてくれた犬を飼い主さんが、
「おりこうにできたね」と愛情一杯に誉めていたこと。
何でもいいから犬に自信をもたせる為に誉めてあげる。老犬と暮らすときに
一番大切なことだ。それをこの飼い主さんは、とても自然にやっていた。
計り終わった私も飼い主さんと一緒に誉めると、犬も誇らしげな顔になった。
お客さんが帰り際、私は何もたいしたことはしていなかったのだが、深々と頭を下げて、ありがとう!と言ってくれた。
私は、素直に嬉しかった。
ショップの店員としての商品知識だけでなく、犬を愛する者として話すことが出来てわずかではあるが、この飼い主さんの役に立てたのかもしれない。
小柄とはいえ、大型犬のゴールデンの介護は、今後大変になっていくだろう。
でも、この飼い主さんだったらきっと、愛情一杯に介護を続けることができるような気がした。
犬を幸せにする人と幸せそうな犬。
ほんの数分の出会いだったが、私はこの日、とても温かい気持ちになれた。
No.156

豆ピン  2003/09/29/21:18:18   No.157
う〜ん。こっちまで心が暖まるお話ですねー。
なんかいいですねー。そう気遣いが自然に出来るNAOさんもすごい!


りんから  2003/09/30/19:25:23   No.158
NAOさんがファングと暮らした年月はそのままNAOさんの財産。介護って初めての人には解らないことだらけだと思うのです。だから、実際のお話を聞けるのはすごく嬉しいことだなぁ。


りんから  2003/09/30/19:28:17   No.159
初めての子に声をかけながら接してくれる人はそれだけで安心していられます。
NAOさんだからこそ、気づけたことは多い!
GRの飼い主さんは、きっと帰ってから今日はこんな良いことがあったのーって、ご家族にお話しされていたでしょうね。


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