2003年4月の日記


4月1日(Tue)  反省
るんばさんに借りた本を読んだ。
たくさんの方が愛犬の介護を笑顔で語る内容。
つい、自分とファングの生活に重ねて反省した。
るんばさんと話した時、「介護って慣れだよ」と言った自分の言葉を振りかえった。
確かに、最初は私も戸惑い、疲れて、イライラする事も悩むことも多かった。
1日に何度も、ファングの体を触りながら、どうしたら病気が良くなるだろう。私には何ができるだろう。ファングは何をしてほしいんだろう。
ファングに問い掛けたり、目を見つめたり、介護を始めた頃は、そんな時間が多かった。
最近は、毎日のファングの世話にも、ファングのふらつく足取りにも、すべての事に慣れてきた。
だから、慢性的な体の疲れはあるが、イライラすることはほとんどない。
その分、ファングに対して優しくなれているが、それと同時にファングにかける言葉の回数、ファングの体に触れること、それらが減ってしまったように思う。もっと、もっと、ファングと時間を共有しなければ・・・
ファングと過ごせるのは、今しかないんだ。
初心にかえりファングとの生活を考えたとき、犬の十戒の一節を思い出した。
”あなたにはあなたの生活がある。仕事、趣味、友達・・・
でも・・・私にはあなたしかいないんです。”
朝夕布団を洗ったり、オシッコ漏れたところを拭いたり、薬を細かく砕いたり、布団から落ちたファングを起こしたり・・・介護が、毎日の生活の中で当たり前になって、忙しさに追われて、「ファングの感情」という一番大切なことを見失うところだった。
日常の世話も大切だけれど、きっとファングは、もっと心のふれあいを望んでるに違いない。
No.36
4月2日(Wed)  血液検査結果
今日は、ファングの診察のため病院へ。
いつもは、車の中からガタガタと震えだしてしまうのに、今日は全く震えなかった。
しかし、病院へ着くといつもよりひどく震え出した。
どうやら、先日ピクニックへ行ったので、今日もまたどこかへ遊びに行けると勘違いしたらしい。
いつもより病院へ入るのを嫌がったのは、心構えができていなかったということか?犬も心構えが必要らしい。
診察がはじまってからは、私も母も先生も、おもわず笑ってしまった。
ガタガタ震えるのはいつものことだが、今日のファングは声のおまけつき。
診察の間、ずっとウ〜〜ウ〜〜・・・・
我慢しきれず、声がでちゃうのだ。ファングにとっては笑い事ではないだろうが、あんまり必死に我慢している姿がかわいくて・・・
ちょっとかわいそうな気もしたが、笑ってしまった。

診察は、まず体重測定。
見た目、先生も「ちょっと痩せた?」と言っていたが、測ってみると35キロ。
ゲッ太ってる!私も、ちょっと痩せたかな〜と思っていたので以外だった。体重は増えてるのに、痩せて見えるのは筋肉が落ちてきているせいだ。
ステロイドを止めて3週間。ジワジワと馬尾症候群は進行しているらしい。
次に背中の真菌。
かなりフケは出ているものの、ハゲになっていたところも、毛がのびてきている。ひどく炎症を起こしている場所もない。
治りきらないが、悪くもなっていないといったところ。
先生も、薬を塗っていないのに良くなってるのが不思議な様子。
そして、膀胱炎。
セファレキシンを投与して、1週間。
オシッコの色も澄んでいるし、大腸菌も検出されなかった。
ただ、膀胱の細胞が少し出ているので、予定どうりあと2週間は、セファレキシンを続けることに。
薬をかなり長期的に投与しているので、かねてから心配していた肝臓や腎臓の検査のため、血液検査も実施。ついでにフィラリア検査も・・・。
実は、この血液検査の結果には、また、新しく病気が見つかるんじゃないかと、かなり不安があった。
しかし、私の不安をよそに、結果は肝臓も腎臓もすべて検査項目は基準値以内であった。
肝臓については、去年よりも数値が低くなっていたほどだ。
ただひとつ、オシッコの濃さが薄いことを指摘された。
腎臓が壊れてくると、オシッコとして老廃物を出す為の機能が弱まり、オシッコが薄くなる事があるらしい。
正直に手作りご飯を与えていることを話した。
「確実に大丈夫とは言えないけれど、そういうことならご飯で水分をたくさん摂取しているせいでしょう。」と先生。
私も、多分そうだと思う。
フィラリアも陰性で、今年も例年どうり予防することに。

それにしても、血液検査の結果には安心した!
いろんな病気を次から次へと発症して、なんとなく治りも悪いような気がしていた。年齢的にも、シェパードの13歳といったら、内臓もかなり弱っていてもおかしくない。ファングも、うちに初めて来た時の健康診断で、病院の先生に「頑張っても、13歳くらいまでかな」と言われたこともある。
高齢のシェパードはかなり高い確率で発症するという馬尾症候群と、年齢的な免疫力の低下。これはある程度は仕方ないだろう。
なにはともあれ、内臓系が大丈夫なら、もうしばらくは安心かな。

本日の診療費  合計 ¥20532

再診療          ¥800
採血料(静脈血)     ¥1200
血液検査(一般)     ¥1500
血液生化学検査(4項目)  ¥1200
フィラリア抗原検査    ¥2500
採尿料          ¥1500
尿検査(一般)      ¥1000
尿沈渣          ¥1200
内服薬12日分       ¥9632
(ステロイド・セファレキシン・ビタミン剤・ベサコリン)
No.35
4月8日(Tue)  しっぽ三昧スペシャル


弟が結婚することになり、先方のご両親に挨拶のため、両親が3泊4日で北海道へ出かけた。
当然、その間、実家の犬3匹とキツネの吹雪は私が預かることに・・・。
4日〜7日まで、怒涛の4日間であった。

何しろ、とてつもなくハイパーな犬なので、散歩も1匹づつ。
朝4回・夕方4回。
1日の中で散歩に費やす時間は、なんと4時間!
それにキーボー・さくら・ゴン、そろって下痢ぎみときている。
原因は、出発前日にご飯かおやつを与えすぎたといったところだろう。
全く!母ときたら余計なことを・・・
といって、放っておくわけにもいかないので、手作りご飯を作ることに!
実家の犬たちは、普段からドッグフード。おやつに鶏肉などももらっているため、タンパク質の過剰摂取であることはまちがいない。
なので、お肉は少なく野菜たっぷりのおじやを食べさせた。
フードでは、あっというまに食べ終え、もっと欲しい!と吠えっぱなしのキーボーも、ご飯を食べるのに時間がかかるため、満足してくれた様子。
そして、ご飯の成果なのか?翌日には、お腹の調子も良くなったようで、3匹そろって元気な運勢であった。

今回、犬たち以上に手がかかったのはブルーフォックスの吹雪。
吹雪は今、発情期で常に落ち着かない様子。
以前、発情期の時に、120センチのサークルを登って脱走したことあり。
この時は、運よく動物好きな人に保護され戻ってきた。
今回は4日間のためだけに新たに吹雪用のサークルを作り、サークルの周りに165センチの波板を貼りつけ、登れないようにしてみた。
しかし、キツネというのはなかなか運動能力が優れていて、吹雪自身の使っている犬小屋に登り、脱走しようとしている。リードで係留もしているので、塀の反対側に飛び降りれば宙吊りになってしまう。
急遽、塀側にも波板を貼りつけた。
安心したのも束の間。今度は飲み水のバケツをひっくり返し、バケツを引きずりまわして遊ぶ。飲み水がない状態ではいけないので、バケツもサークルに紐で縛って固定。
よし!これで大丈夫!と思いきや、夜中からの強い風と雨で、朝にはサークル全体が崩壊寸前。
そこで、朝から雨の中、カッパを着こみ再び補修作業。
補修作業中、ドロンコの吹雪が背中に登ってくるので、私も体中ドロンコだ。
こうして、前半2日は休む間もなく過ぎていき、気がつけば私は全身筋肉痛である。
3日目からは、ようやく落ち着き、朝2時間のお散歩、その後は自宅でファングのお布団を洗濯、掃除をしながら、しっぽたちのご飯を作り、あっという間に夕方2時間のお散歩。夜中も寝てはいられず、全力で走りまわる猫たちを尻目に、ファングのオシッコシーツを取り替えたり、ウンチを片付けたり、布団から落ちたファングを布団に戻したり・・・
すさまじいほどの、しっぽ三昧スペシャルな日々が過ぎ、両親が北海道から帰ってきた。
両親を見るなり、しっぽたちはNAOなんか眼中にないと言わんばかりの喜びよう。みんなしっぽがちぎれそうなくらいにブンブン振って全身で喜びを表している。
苦労した私にしてみれば、ちょっぴりシャクに触るが、かわいらしいしっぽたちの姿に、自然と笑顔のNAOでありました。
No.34
4月11日(Fri)  カスピ海ヨーグルト事件
カスピ海ヨーグルトが死んでしまった。
大切に育てて、毎日おいしくいただいていたのに・・・。

事件は夕べおこった。
私は、ヨーグルトに薬を混ぜてファングにあげようと準備をしていた。
食卓テーブルの上においしそうなヨーグルトを出して、薬を取ろうとテーブルからちょっと離れた
その時・・・!
空から、ジュンジュンが降ってきた。
冷蔵庫の上から、テーブルへとジャンプしたのだ。
着地地点にはお盆があり、その上に着地したジュンジュンは、お盆をソリのように乗りこなし?
テーブルの上の物を蹴散らしながら滑っていき、テーブルの反対側へお盆と共に姿を消した。
ドサ、ガシャーン、ゴローン・・・
テーブルの上の物が床に落ちた音が止むと、床の上に無残に撒き散らされたカスピ海ヨーグルトをファングが無心でなめている。
た、種菌が・・・
放心状態のNAOとは対照的に、薬の入っていないヨーグルトのうまさにご満悦のファングと、自分のしでかした事にビックリしてまんまる目のジュンジュン・・・。
まったく・・・こいつらって・・・・(泣)
No.33
4月14日(Mon)  病院通い
本日はクロちゃんのフィラリア検査のため、ファングのお薬をもらいながら病院へ。
クロちゃんはちょっと太り気味ながらも、なんの異常もなく叔母は一安心した様子。
クロも白髪がちょっと目立ちはじめてきたが、元気ないぶし銀。
それにしても、この子はいったい何歳なんだろう?
クロは母が保護した子なので、年齢は不詳。
最近、ようやくNAOにもク〜ンク〜ンとお話をしてくれるようになったクロ。
でも、今日病院で、NAOがだっこして診察台にあげたから、また嫌われちゃったかな?

そして、来週はファングが診察日。
カテーテルいれてオシッコ検査です。
膀胱炎治ってるといいな!

そして、再来週は、実家のハイパー軍団&吹雪のフィラリア検査。
その前に、そろそろ吹雪とクロの爪きりにも出動しなくちゃ〜ね〜。

本日の診療費

内服薬一週間分  ¥9450
(セファレキシン・ステロイド・ビタミン剤・ベサコリン)
No.32
4月18日(Fri)  ベストパートナー


この所、ファングの体調がとても良いように思う。
背中の真菌は、いつのまにかすっかり治った。
最近は全然シャンプーも薬も使わず、手入れ自体を手抜き状態だったのに・・・
歯磨きも最初に比べれば、かなりおとなしくやらせてくれるようになった。
前庭神経炎を患っていたころに発見した、犬歯の横の良性の腫瘍も、昨日ふと見ると小さくなってる気がする。
さすがに、外をお散歩というわけにはいかないが、部屋の中ではふらつきはあるものの、元気に歩き回っている。
昨日は久しぶりにジュンジュンとバトルもしていた。
寝転がってオシッコが出てしまうので、お腹の皮膚が少しオシッコやけで炎症を起こしているが、それほど、ひどくはない。
以前はよく、目から白っぽい目やにが出て、白目が赤くなり結膜炎の症状が出ていた。
わりと、目やにが出ていなくても、白目は赤っぽく炎症をおこしていることが多かったのだが、最近、白目が充血することがなくなったように思う。
食欲も旺盛だし、オシッコシートを換えるときなど、私に犬パンチをして自分から遊びに誘ってくる
ことも多くなった。
ご飯のメニューも特別変えたことはないし、体の手入れに関しては、今までよりむしろ手抜きをしているのに。
一体、何なのだ?この元気っぷりは・・・
まぁ、元気なのは歓迎すべき喜ばしいことだ。

今までは、皮膚炎になっちゃうからキレイにしなくちゃ!とか、お散歩だって行けないんだから、せめて
マッサージとかして、楽しみを作ってあげなくちゃ!とか・・・
自分で負担になっていないと思っていても、それが義務になってしまって、自分でも気づかないうちに疲れた顔で、ファングと接していたのかもしれない。
ファングは全部お見通しだったようだ。
今年の初めに、ファングの粗相に対する自分の感情への対策として、「怒らない」と誓いをたてたが、最近気づくと、ファングが粗相をした時であっても、ニッコリ笑って、
「いっぱい出たね〜。ファングはかしこいな〜。スッキリスッキリ」と心から
ファングを誉めている。
私の心の奥の本当の感情がわかるのか、誉められると今まで見せたこともない得意気な顔をするファング。
夜も、2時、3時、4時とほぼ1時間おきに目を覚ましては、落ち着かない様子だったため、それに付き合って私も起きていたが、今はグッスリ眠ってくれる。
おかげで、私の体もだいぶ楽である。
心の余裕だけで、こんなにも体調やお互いの関係が良い方に変わるなんて・・・

ファングと出会って2年と4ケ月。いろんな試練を乗り越えて、ようやくベストパートナーになれたような気がする。

No.31
4月21日(Mon)  膀胱炎完治
今日はファング診察の日。

過去に、全身麻酔でレントゲン撮ったり、麻酔なしでのレントゲン撮影のために、
まるでライオンの群れに襲われた草食動物のように、5人の先生に押さえつけられた
経験のある本院での診察はファングにとってとてつもなく恐怖らしいが、
今日は分院での診察とあって、落ち着いていてくれた。
カテーテルでオシッコとって検査。
結果は、膀胱炎完治。よかったね、ファング。
ただ、ファングの膀胱炎は耐性菌によるものだったため、今後も注意は必要。
それから、体を触っていて気づいた老犬によくあるイボとは違う、小さな肉腫。
これについても、先生に相談。針を刺して検査してみないと何とも言えないけど、
多分、体内の角質が盛り上がってできたものでしょう。とのこと。
ただ、悪いものの可能性もあるから、大きくなっていくようなら
早めに検査した方がよさそうだ。

体重はなんとかベスト体重の32キロ台にもどり、そのせいか体調が良い様子。
2週間前は病院が終わって、家に入る時スロープを自分で登ることができなかったが、
今日は、ふらつきながらも頑張って自分で登ることができた。
ステロイドも、量が減って毎日の服用から1日おきに変更。
体重が増えると、すぐに調子を崩してしまうファングのために、体重管理には
気をつけなければ・・・。
ただ、いつからかわからないが、ファングの体形が変わったように感じる。
多分そう感じるのは私だけだ。主人や母たちにはわからない。
痩せたな〜と思っていたのに体重は増えていたり、太ったな〜と思っていたら
体重は減ってたり・・・
今まで、体形、特にわき腹あたりの肉付き具合で体重を判断して、食事の量や内容を
調整してきた私にとって、これは大変困る。
そうは言っても、年をとれば体形が変わるのは仕方がないこと。
足腰や肩が痩せて、よろよろと歩く老犬を見ていると、つい可哀想と思いがちだが、
そういう年齢を重ねて年相応の体形になった犬のほうが、むしろ元気に長生きできる
ような気がする。(根拠はないが・・・)
今後は、ファングの体調を目安に体重管理をしていかなければ・・・
ちゃんとできるかな〜?
体調っていっても、気分やその日の気温・湿度などいろんなものに影響されるからな。

本日の診療費  合計 ¥6833

再診料      ¥800
採尿料      ¥1500
尿検査(一般)  ¥1000
尿沈渣      ¥1200
内服薬 1週間分  ¥2333
(ステロイド・ビタミン剤・ベサコリン)

No.30
4月22日(Tue)  黒い襲撃


実家のしっぽたちのお散歩隊として出動した。
この時期の彼らのお散歩コースには危険が潜んでいる。
散歩コースの途中に高い松の木がある。その木の下がデンジャラスゾーン。
「今日はいませんように・・・」
そう願いながら、松の下にさしかかると、進路方向に黒い物体を発見!
よく見ると、体のバランスがおかしい。まだ子供のようだ。
一緒に散歩に行った母に「やめようよ!ほかの道行こうよ!」そう私は言ったのだが、
母は、「そんなに気を遣っていたら、散歩なんかしていられない!」ときっぱり。
恐々とついていくと、思ったとうり木の上から、姿は見えないが声が聞こえる。
「これ以上進んだら、攻撃されるよ〜。あの声、威嚇してるんだよ〜。」
母はどんどん進んで行き黒い物体に近づいていく。すると、母が連れていたキーボーが
黒い物体へちょっかいを出した。
その瞬間、木の上から、バサバサバサッと大きな黒い影が・・・
カァーカァーカァー・・・
2羽のカラスが、母と私に向かって急降下。
ギャーーーーーーーーと叫び、手で頭を抱える母と私。
カラスに向かってジャンプして応戦するキーボーとさくら。
そして、キーボーとさくらの突然のジャンプに戸惑ってせわしなくうろつくゴン。
一瞬のうちに、全員が好き勝手な行動をとったので、リードはメチャクチャに絡む始末。
その場所にいたら危険なので、「はしれ〜〜〜〜!」と声をかけ、メチャクチャに
絡んだリードのまま2人と3匹で走って逃げた。

地面に降りていたのは雛で、まだうまく飛べず練習をしていて、それを親カラスが
木の上から見守っていたんだな。
キーボーは、ちょっとふざけただけのつもりでも、親カラスにしてみれば、
「うちのこどもにな〜に〜するダ〜〜〜〜〜!」
といったところか・・・身を挺して子を守ろうとする親心だ。
だから、やめとこうって言ったのに。それにしても怖かった!
No.29
4月27日(Sun)  タロウの思い出


先日、あるきっかけで昔のアルバムを開く機会があった。
すると、私が初めて飼った愛犬「タロウ」の写真が出てきて、
久しぶりの写真での再会にいろんなことを思い出した。

私が小学生の頃に犬を飼いたいと親にねだり、できもしないのに
面倒は全部するから・・・約束するから・・・
と親を説得してようやくOKをもらい、新聞に出ていた
「10ケ月の仔犬あげます」の記事を見て、もらってきた犬。
それが、タロウだった。
10ケ月といえば、仔犬というよりすっかり成犬サイズ。
仔犬の方がかわいいから、仔犬にしたら・・・
そう言う親の言葉も耳に入らないほど、
一目見て、タロウのことを気に入ってしまった私は、
この子じゃなきゃイヤだ!といって、タロウを家族に迎えたのだった。

しかし、全部面倒は見るから・・・などという私の約束は
守られるはずもなく、毎日の散歩やご飯などは、すべて母の仕事となった。
それでも、タロウの事がかわいくて、よくタロウと遊んでいた。
タロウのリードをどちらが持つかで、弟ともよくけんかをした。
冬の寒い日に、母に叱られて外へ裸足で出されたりした時も、
泣きながら「家にいれてよ〜」と叫ぶのではなく、タロウの犬小屋に
入り込んで、タロウの体を抱いて犬小屋で一晩過ごした。
あの時のタロウの温かさは今でも忘れていない。

あの頃の私は、タロウとの楽しい生活はこれから先ずっと続くと思っていた。
かわいくて元気だったタロウが病気になったり、死んだりすることなんて
これっぽっちも考えたことなんかなかった。

当時は今程、犬を取り上げたTVや雑誌などもあまりなかったし、
インターネットのような便利なものもなかった。
今でこそ、フィラリア予防は犬飼いの常識になっているが、当時は
フィラリアの知識をもっている飼い主などほとんどいなかった。
予防薬や治療法なども、今のようには確立されていなかったと思う。

私の記憶の中では、元気に走り回っていたタロウから、元気もなく
たびたび嘔吐を繰り返し、お腹が地面に着きそうなほど腹水がたまったフィラリア末期のタロウの姿へとんでいる。
激しく咳きをしたり、元気も食欲もなくなっていたり、散歩でも歩くのが辛そうだったり・・・腹水以外にもそんな症状が出ていたはずなのに、その記憶が全くない。
でも、たとえ腹水以外の症状に気がついたとしても、症状が出たときはかなりの重症。
私がタロウの体の異変に気がつく、ずっとずっと前からフィラリアに感染していたんだ。そう、元気に走り回っていたあの頃にはすでに・・・。

私は、母に頼み込んで、おこづかいを前借して、そのお金をポケットに突っ込んで、
腹水がたまり大きなお腹で、ハアーハアーと苦しそうに呼吸をするタロウを
ダンボールに入れ、自転車の荷台にくくりつけ、一人で動物病院へ連れて行った。
途中、荷台からダンボールと一緒にタロウが落ちてしまい、小学生の私にとっては
抱っこするには大きすぎるタロウを何とか荷台にのせようとしたが、うまくできずに
途方に暮れて泣いているのを、通りかかった見知らぬおじさんに
手伝ってもらったのをよく覚えている。
病院では、たしかフィラリアについての説明を受けたのだろうが、
私には理解できず、タロウの体がどういう状態なのかさっぱりわからなかった。
小学生の数ヶ月分のお小遣いでようやく手に入れた白い錠剤はたったの1錠。
たった1錠の薬で治るはずなんてないのに、薬を飲めばもしかしたら治るかも・・・
その時は本気でそう思っていた。
でも、タロウはうちに来て、たった4年で逝ってしまった。

ある日、学校から帰りタロウの様子を見に行くと、タロウは地面に横たわったまま
動かない。口からは大量の血を吐き、地面が真っ赤に染まっていた。
「タロウ・・・」そう小さな声で名前を呼び、そっと触ってみると、
もうタロウの体は、冷たくかたくなっていた。
タロウのまわりの地面には、爪の跡が生々しく残っていた。
きっと、苦しくて苦しくて最後の力を振り絞って悶えたんだろう。
家族が誰もそばにいない時、ひとりで苦痛に耐えながら逝ってしまったタロウ。

私たちは、タロウを棺かわりの箱に入れて、体をキレイに拭いてあげた。
でも、口のまわりの血は何度拭いてもとれなかった。
箱のふたを閉めるとき私が最後に見た、苦痛にゆがんだタロウの顔は、
今でも忘れられない。
タロウ・・・・ごめんね。

タロウを見送ったのは、20年ちかく前のことだけど、ずっと心の中で悔やんでいた。
だから、今一緒に暮らすファングを迎えるときも、フィラリアに感染してない事が
条件だったし、今はファングだけでなく、ネコたちにもフィラリア予防薬を与えている。
2度とタロウみたいに苦しい思いはさせたくないから・・・

私は今、ペット用品を販売する店で働いている。
犬を初めて飼うというお客さんには、必ず「フィラリア予防も忘れずにね。」
そう声をかけている。
フィラリア感染症は予防さえしっかりすれば防げる病気。
犬を飼っている人には常識でも、初めて犬と暮らす人のなかには知らない人も
たくさんいる。
その人たちに、たった一声かけるだけで病気から守れるのなら、それが、
タロウに対する供養になるように思う。
苦しんで死なせてしまったタロウの命を無駄にしないために・・・。
No.28
4月29日(Tue)  春の診察終了


春のこの時期は、フィラリア予防の検査のため病院へ行かなくてはならない。
なにしろ、しっぽ大家族なので診察に連れて行くのも、一大イベントなのだ。
さくら、キーボー、ゴン、吹雪。1日で4匹となると、病院通いも1日がかりだ。
吹雪は午前の診察時間に連れて行ったが、今日に限って混んでいたので、
一時、病院へ預けお昼ごろに迎えに行き、午後の診察時間には3匹を
引き連れて行った。
さくらは、診察中ずっと無表情。嫌がったり怒ったりしないが、
保定する私も、診察する先生もずっと威圧感を感じていた。怖い・・・
一通りの健康診断もやってもらったが、
脈をはかると、先生が、んっ?って顔をした。
大抵の犬は病院へ来ると、怒るか怖がるかでとにかく興奮状態のため、
脈も自然と早くなるのに、さくらは全く動じていないらしく、脈がかなり
ゆっくりだったようだ。
嫌がって暴れるのも困りものだが、あまり堂々とされてもかわいげがない。
目が腫れてるとも先生に言われ、私もエッーと驚いて目を見たが、特に
おかしなところはない。
先生、秋田犬はこういう顔なんです。生まれつき奥目なんですよ。
ちょっとしたおもしろエピソードである。

キーボーはちょっとビビリぎみ。
診察中は怖くて固まってくれたので楽チンでした。
キーボーは歯のエナメル質がない。たぶんペットショップにいる頃に、
ジステンバーにかかったのだろう。
今後の生活では歯磨きは必須だ。

ゴンは、見た目怖がっているようだが、診察中ずっとシッポを振りっぱなし。
怖いのか?うれしいのか?よくわからん。
どんな時でも、シッポを振りまくるかわいいヤツだ。
先生に何をされても怒ったりしないし、威圧感はないし、さくらとは全く違う。
私も気づかなかったが、ゴンの前歯はかなり磨り減っていることがわかった。
うちの子になってからは、硬いものをかじったりすることはない。
放浪生活中か以前の飼い主宅でなにかあったのかもしれない。

吹雪は前足におできのような腫瘍ができていたが、大きくなってはいないから、
悪いものでなさそうだ。
ただ、心配なのは血液検査で腎機能が少し心配。
今なら、食事管理でどうにかいい方向へもっていけるかもしれないが、
何しろ食べ物が難しい。人用のテリヤキミートボールがお気に入りで、
母がそれを与えてしまう。困ったものだ。
私が食事管理してあげられればいいのだが、離れて暮らしているので
毎日は無理だ。時々、手作りご飯を差し入れしているが時々では管理にならない。
母が吹雪のためにと、やる気になってくれればいいのだが、期待はできない。

全員、何かと問題を抱えてはいるが、すぐに治療を必要とする状態ではない。
フィラリアも陰性だったし、まずは一安心。
ファングと猫たちのフィラリア予防薬も忘れずにもらってきた。
ファングの尿漏れが少しひどくなったので、ベサコリンをちょっぴり増量。

本日の診療費

フィラリア予防薬(ファング)    ¥2600
フィラリア予防薬(マッコ)    ¥2000
カルドメックチュアブル  (ジュンジュン)   ¥2000
内服薬1週間分           ¥2378
(ステロイド・ビタミン剤・ベサコリン)
No.27

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